無有
「不測に立ちて無有に遊ぶ」
予測とはまさに人為であり、人を不自由にするものです。
むしろ不測に立ち、何も予測せず無心でいることが一番強いものです。
柔道でも剣道でも、相手と対峙した時、相手がどんな動きをするか
シミュレーションするよりも、無心でいる方が強い。
予測と違った動きをされた時の反応の遅れは致命的です。
何も考えていないというのが、最も速やかに対応できる状態であり、
それが強さになるわけです。
「故に始まり、性に長じ、命に成る」
山間の激しい水流の滝壺で泳いでいる男が、その秘訣にについて答えた言葉。
渦巻いたらその水とともに沈み、湧き上がる水につれて浮かびあがり、
水の法則にただただ従って私を差し込まない。それが秘訣であると。
山間に生まれたので山間だと慣れていて安らぐという自分の下地が「故」で、
水泳が得意で水にも慣れ親しんでいるのが「性」、
またどうしてこうなったか知らぬまにこうして泳いでいるのだから、
それが「命」なのだろうと言うのでした。
故とは、生まれつきの自分の下地=資質
性とは、徐々に身に着けたもの=スキル
命とは、ビジネスではミッションに相当
生まれつきのものでもなく、後天的に獲得したものでも無意識の領域に
入ったものであれば、それは「もちまえ」だということになります。
私たちの取り巻くビジネス環境の変化への対応、プロとしての意識について
少し違った視点で考えてみても面白いのでは。