腹決め
読書の秋なので、本ネタから。
出張中の飛行機で「知性を磨く」田坂広志著(光文社新書)という本を読みました。
なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?
頭の良い人ほど、プロフェッショナルになれない理由。
なぜ、優れたプロフェッショナルは、「想像力」が豊かなのか?
著者曰く、
「知能」とは、
「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力。
一方、「知性」とは、
「答えの無い問い」に対して、その問いを問い続ける能力。
「知性」とは、容易に答えの見つからない問いに対して、決して諦めず、
その問いを問い続ける能力のこと。
ときに、生涯を掛けて問うても、答えなど得られないと分かっていて、
それでも、その問いを問い続ける能力のこと。
私たちの仕事にも、本当の答えはありません。
環境は日々変化しています。正しいと思った事が、間違いと気づく事も。
そもそも、答えを解く前に、問題(=課題)を見つける事自体が難しいです。
問題を見つける事を怠ることも。
高校までの勉強と大きな違いはここです。
高校では、与えられた問題を如何に解くのかを学びます。
会社に入ってからは、問題を見つけ出す事が求められます。
与えられた問題を解決するだけでは、リーダーにはなれません。
組織、社会を変革する事も出来ません。
(因みに、大学も本来は、自ら問題を見つけ、それを研究する場です。)
但し、答えがないからと言って、闇雲に時間を掛けることも許されません。
そこで、二つの対処がでます。
一つは「割り切り」。「知能」は、それを行います。
一件、スマートに物事を捌いているように見えますが、判断の奥にある、心の姿勢が
実は問題。=「楽になりたい」
文芸評論家・亀井勝一郎さんが語った言葉:「割り切りとは、魂の弱さである」
精神が「楽になる」ことを求め、「割り切り」に流されていくと、深く考えることが
できなくなり、「答えの無い問い」を問う力、「知性」の力が衰えていく。
もう一つの対処は「腹決め」
「これで行くしかないか・・・」と、腹も定まらず、受動的に意思決定するのではなく、
「これで行こう!」と、腹を定め、能動的に意思決定することである。
「割り切り」と「腹決め」の違いは。
前者の「割り切り」の心の姿勢は、心が楽になっている。
しかし、後者の「腹決め」の心の姿勢は、心が楽になっていない。
覚悟を持って「腹決め」をし、最後まで正解だったか分からない決断に対しても、
自分の責任として取り組む。
これが、プロに求められる姿勢と資質なのでしょう。