中進国の罠
日経新聞の経済教室に「アジアと中進国の罠」という面白い特集がありました。
(8月27日付け)
絆は必ずしも経済発展に結びつくわけではない。
欧州では、家族や友人との絆を重視する地域ほど経済成長率が低い。
スペインの企業はサプライヤー(部品供給業者)との信頼関係が
強すぎるとむしろ業績が悪化する。
戦前のドイツでは、コミュニティー組織が強い地域ほどナチズムが浸透した。
地域・組織内の強すぎる絆が対外的な排他性を高めることで、
外からの新しい知識や刺激が流入するのを妨げ、
むしろ地域の発展を阻害することがありうる。
従い、経済や社会の発展に重要なのは、地域、組織内での絆を深めながらも
排他的にならずに「よそ者」ともつながる事だ。
それにより、多様な繋がりを構築し、よそ者から取り入れた新しい知識を
地域・組織で咀嚼してイノベーションを起こさせる。
ドイツの研究者を対象にした研究によると、いつも同じメンバーと研究しながらも、
ときには違う組織・分野の人と研究するような人が最も優れた業績を残している。
AKB48は、名古屋のSKE48、上海のSNH48など5つの姉妹グループとの間で
地域や国境を越えたメンバーの移籍を実施することで、新展開を生み出して
人気を継続させている。
中進国の罠は、多様なつながりによって成長してきた途上国が、
国内の絆が強くなりすぎるゆえに排他的になり、先進国からの
技術や知識の流入が阻害されてしまうことでも起こりうる。
その結果、経済が停滞するがゆえに、ますます排他的になって
既得権益を守ろうとする悪循環に陥る。
わが社も中進国と捉えると当てはまる部分があります。
中進国の罠に陥らないよう、好奇心を持って、社内外での交換を
通じ、変化を続けましょう。