腹中有書
昨年ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智先生は、心に留まった言葉を
ノート書き留めているとテレビの特集で語っていました。
ノートの表紙には「腹中有書」と書いてあります。
その中から、
「金を残すのは下、 仕事を残すのは中、 人を残すのが上」
「創造なくして伝承なし、伝承なくして創造なし」
大村先生の、知性だけでなく、人間性と信念を感じる特集番組でした。
<参考>
「腹中有書」は、思想家 安岡正篤(やすおか まさひろ)の「六中観」の一つです。
腹の中に書、すなわち信念・哲学があり、座右の銘、愛読書を持っていることです。
頭の中に書があるのはだめで、それは単なる知識にすぎない。
腹の中に書があってこそ知識が腹に納まって、血となり、肉となって生きた人格を造り、
賢明なる行動をとれます。
単なる「知識」だけでは役に立たない。それをしっかり肚(はら)におさめて、
自らの行動の指針、規範となるような書を持ちなさい、と説かれています。
安岡正篤の「六中観」
死中有活:絶体絶命の中にも活路はあり、死ぬ気でやれば道はひらける
苦中有楽:どんな苦しい中にも楽しみは見出せる
忙中有閑:すさまじい忙しさの中、一瞬の閑、これが一番ほっとする時間。
意中有人:心の中に尊敬する師を持ち、誰かに推薦できる人があること
腹中有書:自分の哲学や座右の銘、愛読書を持っていること
壺中有天:狭い壺(つぼ)の中に広々とした天(空)があるという意味で、
何か事あった時には「誰にも邪魔されない心休まる。
自分の別世界を持つことが必要だ」とのこと