選ばれる人材の条件
Harvard Business Review アーカイブ(2015年5月号 特集「選ばれる人材の条件」)から
人材発掘は第四の時代へ
人材発掘の「最初の時代」は1000年続いた。1000年の間、人間は肉体的特徴に基づいて選別された。
ピラミッドを築き、運河を掘り、戦争をし、穀物を収穫する。
いずれの場合も可能な限り元気で健康で力持ちの人々を選んだ。
これらの特徴は簡単にわかる。
「第二の時代」は、知性と経験、そして過去の実績を重視する時代である。
20世紀の大半の時代、言語・分析・計算・理論の各面での頭の回転の速さを図るIQ(知能指数)や、
IQが不明の場合は学歴と筆記試験の成績で代用された。
多くの仕事は標準化され専門家された。大半の職種は、仕事の内容が毎年大きく変わるわけでもないので
過去の実績によって十分に予測できると考えられていた。
1980年代は「第三の時代」の始まりであった。
コンピテンシー主義である。仕事に求められる役割でどれだけ優れた成果を発揮できるか予測するための
具体的な特性とスキルによって評価されるべきだと提唱された。
こうした考えは時代に合っていた。技術革新および業界の垣根の消滅によって仕事内容の
複雑さが増し、人材発掘においても経験と実績はそれほど当てにならなくなっていたからである。
リーダーに対しては、IQ(知能指数)よりEQ(感情的知性)の方が大事だとも考えられるようになった。
現在、人材発掘の「第四の時代」が幕を開けようとしている。
激しく変動し、不確実で、複雑で、不明瞭な(VUCA-Volatile, Uncertain, Complex, and Ambiguous)環境に
おいてコンピテンシーに頼る人材評価と人材登用は不適切になりつつある。
ある人が今日は見事に特定の職務をこなせたとしても、明日になって競争環境が変わったり、
会社の戦略が変更されたり、本人が管理または協力する社内のグループが変わったりしたら、
もはや通用しなくなるかもしれない。
新しいスキルを学ぶ潜在能力があるかどうかが重要となる。
潜在能力の第一の指標となるのは、しっかりとした”モチベーション”である。
利己的でない目標追及に向けて成果を上げてみせるという固い決意である。
高い潜在能力を持つ人は、大きな野心を抱き、自分の足跡を残したいと願っているが、
同時に皆で協力して大きな目標を達成したいという夢を抱き、自分個人が目立たぬよう
とても謙虚であり、やることすべてき向上心を持って努力する。
次に以下の4つの性質が潜在能力の指標となる。
好奇心: 新しい経験や知識を追い求め、何かを学び、自分を変えることに積極的。
洞察力: 情報を集めて意味を読み取り、新たな可能性を見つける能力。
愛着信: 感情と理論を駆使して説得力のあるビジョンを伝え、人々と関係を築こうとする。
意志力: 困難にもめげず高い目標を達成するために戦い、逆境を跳ね返す気力。
私たちの目指す人材像のあり姿にも通じるものです。